めも。

ごーばっくきゃんでぃはうす

悪女/百々和宏

 

 

 

 

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妹の上映会に、なんとかたどり着けました。

 

かの学生時代からの友人の彼は足を引きずりながら、わたしが憤怒の短文LINEにて指定した待ち合わせ場所に、待ち合わせ時間より30分早く現れました。

 

さすがのわたしの絵文字なし短文LINEに、怒りの色を察知したのでしょう。

 

 

世相が変わってしまってから、人生初の正社員として入社が決まった彼はそれでも都内に位置する会社に出社することは儘ならず、職業柄、リモートワークを余儀なくされ、聞いたところによるとその期間は2ヶ月だったという。

 

明けに出社したのが先週から。

体が不調なまま、都内まで電車通勤をし、体を引きずりながらもなんとか全うしたらしく。

 

有給取って休日明けで、行く気満々だった、と語る彼に、開口一番、辛辣なことばを述べる手段も、性格も、関係も、わたしは持ち合わせていなかった。まずは、

 

「どうしたーーー???」

 

と心配して声を掛けるしか、出来なかった。

 

 

なぜかだんまりを決め込む彼。

 

 

イラっとしたけど根気強く相手を労い、スーパー説教タイムは道中、帰り道も。発動することなく終わってしまった。

 

 

同時に待たされている間、苛立ちからわたしはこれまた20年来からの戦友に手持ち無沙汰も相まり、LINEで彼が来ない旨、相談しては笑い話に変換し焦燥感を和らげていた。

 

彼女が言うにわたしは優しい、のだという。

 

いや、

 

 

 

わたしは波風を立てることを忌み嫌う性格におさまって、ここまで生きてきてしまったんだと思う。

 

 

結局、苦笑いしながら彼の登場に付き添い、代官山までお互いの近況なんかをいつも通り会話交わしながら電車に乗ってきてしまった。

 

 

妹に上記の不具合や、以前のめも。を見せる気にはなれない。

 

消去してしまおうか、とも考えたがわたしの一部、片鱗、のような気がして。

そのままにしてある。のが現状。

 

 

 

代官山に着き、足を引きずる彼を慮りあんまり移動をしないようにはからった。

 

何屋なのかわからない店構えでお洒落な街並みや小さな路地が広がり、

ここは、いったい。?と、いちいちびっくりしながら、妹にお祝いで渡す花束を買いに花屋を探す。

 

Googleマップに"花屋"と打ち込むと、坂の向こうに何やら英語で店の名前が出てきた。

わりと近い距離にある。

 

坂を下りたところにあるその花屋は、残念!、ドライフラワーばかりをガラス張りのショーケースに並べた店構え。

しかも営業時間外なのかclosedの看板を掲げ、閉まっていた。

 

途中、彷徨い見誤って入った店は、、、

 

 

床屋だー!、

 

とわたしが情けない単語で首を横に振り、(美容室と言いたかったらしいが、なぜだか床屋になってしまった)花屋調査は一旦失敗と相成った。

 

 

そんなこんなだったが

結局、彼が指を指した路地を入ると、、、

えー。そこはせともの屋だよー!、(キッチン用品屋さんみたいだった)なんていうわたしを他所に、ちゃっかりしっかり、創造物のような入り口のまさしく、花屋だった。

 

店先にあるかわいい黄色を基調としたブーケを指差して、店員さんを呼び、

なんとか花束入手!

 

調子に乗って、上映会が行われるシアターギルドまでの道すがら、ドリップのコーヒーアソートも購入。妹のソロの持ち曲に"コーヒー"という名前の曲があったことを連想してプレゼントしようと決めた。

その店のオーナーが付けたという独創的な名前の付いたコーヒー豆が置いてあり、小さい店に女性の店員さんが1人いて、コーヒーの味の違いについて丁寧に説明してくれた。

 

 

上映まで20分を切り、わたし達は喫茶店に入る選択肢を折ってシアターへ。

 

 

 

妹が教えてくれた、サンローゼ代官山、と調べたGoogleマップの地図のおかげで無事、順調に辿り着く。

(後日談、母は1時間半迷ってしまったそうだ。)

 

 

靴を脱いで上がると、妹の元気で比較的大きめな声が聞こえてきて、Bluetoothのヘッドフォンを受け取り、バーカウンターの説明を受ける。

 

妹が最近、めきめき元気な姿を見せてくれてわたしはうれしい。

挨拶もそこそこにチェキ券の付いたCDを買って、妹と並びチェキを撮ってもらった。

 

バーカウンターでホットのハーブティーを注文した。

友達はカフェ・オ・レを頼んだみたいだった。

 

小雨が降ってきていて、肌寒い日であった。

 

シアターのスクリーンを正面に構えられるよう、長テーブルに並んだ木製の椅子を2席、友達と並んでキープ。

 

19:00になり、無音なままスクリーンが動き出す。あ、そうか!、と入り口で手渡されたBluetoothのヘッドフォンの音量を上げる。

とても音質が良く密閉感のある装着感にびっくりする。

 

映画が上映される。

 

 

 

わたしはなぜだか、マスクの左右を濡らし涙が止まらずにいた。

 

妹が現在辿り着いた場所は、たくさんの人に溢れていて暖かい方々によって、順調で安定した道のりを経ていくように感じ、よかった、本当によかった。、という、安堵からの涙だった。

 

 

映画の結末や内容はこちらでは語らずにおきます。

 

 

上映会が終わり、トークショー

 

妹が快活に、しかし余裕を持って話をする姿に勇気付けられました。

 

共演された方も暖かい、優しく大人な方々で本当に恵まれた環境に身を置けているのだと知り、一時の荒野の中をいくような、荒れ放題な妹を知っているわたしには感慨深かった。

 

 

母について言及する場面が司会者のチバさんから質問で寄せられ、妹は確実に席に座るわたしを目で追っていて吹き出してしまった。

 

 

 

 

今日は妹のミニライブの行われる日だった。

 

 

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映画のエンドロールで流れた曲、

ドロップアウト、という曲を演ってくれた。

 

物販でコード譜付きのCDを販売していて、PCに落として最近よくリピートして聴いている。

 

 

2曲演奏してくれたのだけど、2曲目が新曲。

相当意外でビックリな展開だった。

 

 

有楽町でまた会おう、というタイトルだった。

 

 

今までの妹の曲調たちや展開から想像が付かないぐらい、明るい曲。

 

今までの妹を良い意味で払拭するような内容や調べに、わたしは明るい曲なのに、よかった、本当によかった。とまたマスクを濡らし涙しました。

 

ずぶずぶに泣いてしまったわけだが、

それはすべて安堵からの涙で、

彼女がこれから生きていくのに、いまは、いまだけは確かに安定、本人も安心しているのだと気付いた、感じ取ったからだった。

 

本当に、よかった。

 

上映会おめでとう。

 

 

 

妹に駆け寄って、新曲とてもよかったよ!父が聴いたらビックリするよ!、と、話した。

妹が手描きで落書きしてくれたチェキを受け取って、挨拶をし友人と会場を後にした。

 

 

小雨降る代官山を後にし、わたしはコンビニと思しき店で傘を買い、新宿へ向かいました。

 

都内に出るのなら、と、友人の彼行きつけのアニソンバーに行きたいと前日に申し出たためだ。わたしは初体験で楽しそう!、と承諾していた。

 

脚を引きずりながら、新宿駅東口をゴールデン街の方へ向かうらしい彼は、はやく歌いたいのか、はやく店に辿り着きたいのか、心なしか軽快な足取りをみせる。

 

あまりに速い歩行速度に、わたしとの距離がひらいて連れ立って歩いているように見えなくなってしまったため、黒人さんのキャッチにわたしが掴まりまくるという謎の事態に。

 

ピンじゃないよ、、。

と理解されないであろう単語を吐きつつ、彼の後を追う。

 

ビルの一角で引きずる軽快な脚を止めた彼に続いて、中に入り小雨はまだ止まないまでもなんとなく面倒で道中、もうとっくに閉じてしまった傘を束ねる。

 

 

エレベーターで7階へ。

 

 

以前モーニングに誘ってくれた友人が入り浸っている飲み屋さんばかりが立ち並ぶビルを連想させる、サンドイッチみたいにぎゅうぎゅうにいろんな小さな店が、各種部屋(と呼ぶにふさわしいかとおもう)にまとまっている。

 

アニメのポスターが貼られたドアーを開けると、カウンターと小さいテーブル。

2人の店員さんらしき女性が迎えてくれて、先客のお客さんが2人テーブル席にいらした。

 

みんなで飲もうよー!、と店員さん。

同じテーブル席に腰を下ろすと、彼に、店員さんから、お久しぶりです。と声が掛かり、

わたしはしらないうちに友人が友人の世界を築き上げていることを知る。

 

寒い日が続いているね、とお酒を飲もう、と梅酒の水割りを二人で頼む。

アニソンバーが初めてだというと一通り店員さんが説明をしてくれた。店員さんは源氏名だと思うけどわたしと同じお名前の、のぞみさんだった。

 

しばらくアニメの話だけが飛び交う会話にうなずいていると、友人がカラオケのリモコンを弄りはじめた。

 

Free!のキャラソンを入れ、リモート2ヶ月がきいて呆れるほどの美声を披露。

ギンギラギンやん。

 

わたしも彼に続いてかぐや様は告らせたいのキャラソン、チカっとチカチカを入力。

いつもよりアニメ声を意識して乗り切る。

 

あんスタのキャラソンを入力する友人。

店員さんのツボらしいことを知り、またもや美声を響かせる彼を尻目になるほどな、と聴き入る。

友人はお得意のGRANRODEOも披露。

気付けば終電間際の時刻になっており、オーイシマサヨシさんの君じゃなきゃダメみたいをわたしが歌い終わったところで、チェックをお願いして店を去った。

 

最初アニソンバーに通い始めた頃はカラオケばかり入力して歌い、他のお客さんと会話することを避けていた、と駅までの道々彼は話す。長年、内向的もいいところ、引きこもりレベルに外交を回避し鎖国でもしているのか、と少々心配になるぐらいな彼なので頷ける話だ。

それでも、だんだんと他のお客さん(アニメ好きな方に限り、だが)と少しずつ接するようになったという。しかし同志な友達はまだ出来ていないようすだ。

 

雨が引き続き降っている。

 

彼と会う時分はいつも雨降りの日のようにおもう。

 

 

帰りの電車で、友人はSwitchを取り出し、マリオカートをプレイさせてもらった。

各種設定は甘ちゃんレベルだったが、首位を獲得して走り切った。

わたしのSwitchはliteだから、据え置きSwitchの大きい画面に感動した。

 

 

地元の駅から歩いて、そろそろお開きに。

別れ際、悪かったね、と待ち合わせの件に関して彼は言及する。

 

ほんとに、"悪かった"、よ!、

と言いたい気持ちを堪えて、

 

今後ははやく知らせてよね。

としか言えなかった。

 

言い訳をされたが、聞かなかったこととする。

 

 

 

ーかくして長い旅路は終末を迎えた。

 

下書きにずっと溜まっていて長文になってしまいました。

 

 

今日はsyrup16gのライブに行ってきたので、また後日感想など記事upします。